ナグリと市松 紡|紀州のセミコートハウス その9 | 築紡|根來宏典

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2021年3月1日(月)

ナグリと市松 紡|紀州のセミコートハウス その9

フローリングは、品質の高いヨーロッパ産のホワイトオーク。オークといえば、古くからウイスキーやワインの樽、高級家具に使われる素材。日本でいうと「ミズナラ」や「どんぐりの木」。欧州ナラとも呼ばれ、日本のナラに近いので、和モダンなテイストとも相性が良い。重厚、強靭、耐久性が高い、木目の荒さが特徴。LDK、洋室、廊下には、幅広180㎜、厚み19㎜の無垢材。一般的には節無しが好まれるかもしれませんが、あえて節有りを使用。180㎜幅の節無しを揃えるのは大変ということもあるのですが、節があった方が自然ですし、ワイルドかつビンテージな風合いで個性的。

 

廊下から一段あがった和室廻りの縁甲板も素材感を揃えるため同じ欧州ナラを採用。幅150㎜、厚み18㎜の無垢材をナグリ仕上げ。表面を刃物ですくい取るように削り、凹凸を出すひと手間加えたもの。利休が茶室に持ち込んだ詫びた世界観。使った道具や手づくりの痕跡を残す味わい深さ。日本の伝統的なものであり、優しい手触り、足触り、座り心地も良く、無垢材の魅力を惹き出す仕上げ。こちらには節の少ない材を使っています。節部をナグると、ザラツキ感が生じて肌触りが良くないから。洋の素材に数寄屋仕上げを施すことにより、和モダンな様相に仕立てています。

 

仕上げには亜麻仁油を主成分とした浸透性オイルを施しています。深みある飴色、木目が浮かび上がり、しっとりとした仕上がり。塗料の拘りは、コチラでも≫

 

けっこう拘りましたので、よく見かけるオークのフローリングや、名栗縁甲板とは違う仕上がりになっていると思います。時間や手間の掛かるプロセスなのですが、素材の良さを惹き出すモノづくりの場は楽しい。

 

市松の襖は、桂離宮を模したもの。青と白ではなく、銀にアレンジ。青の和紙は、斐伊川手漉純楮紙の草木染。引手金物は、真鍮(縁)と銅(底板)を組み合わせた角引手。つまり、金、銀、銅の構成。反対側は、真鍮鋳物の香炉型引手。奥さんは「ドビンちゃん」と呼んでいますが(笑)プライスレスな引手金物のお話は、コチラ≫