掘り炬燵とロフト 紡|紀州のセミコートハウス その8 | 築紡|根來宏典

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2021年2月26日(金)

掘り炬燵とロフト 紡|紀州のセミコートハウス その8

広間には12枚の琉球畳が敷かれ、中央の2枚を剥がすと掘りごたつになっています。座卓は、重厚感ある耳付トチノキ。工事期間中に慌てて探すのではなく、建主さんが気に入った板を見つかるのを待って手に入れたもの。トチノキは、葉や実が多く付くことから「多くの人や幸せが舞い込む」と謂れ、縁起の良い木。巨木に育ち、かつ真っ直ぐ伸びずに変化に富むので、一枚板に適しています。一枚板といえば、一昔前はケヤキの人気が高く、トチといえば通好み。広葉樹の堅木でありながら、柔らかい表情をしているので、私好みでもあります。近年、トチの産出量が減り、ケヤキやウォールナット等と同じく銘木級になっている材。

 

階段の下は収納となっているのですが、それを感じさせない造作のディテール。外した畳や布団などを仕舞っておくスペース。扉の仕上げには、黒縞の漆和紙。階段のうえはロフト。畳を敷き、文机を設えています。ロフトならではの籠り感で、心が安らぎます。障子開けると、その先には和泉山脈の山々を臨む景色の広がり。窓を開けると、広間からロフトにかけて心地よい風(重力換気)が抜けていく。