住宅設計の(あり方についての)考え方 | 築紡|根來宏典

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2021年2月24日(水)

住宅設計の(あり方についての)考え方

2月10日に発売された泉幸甫氏の新書『住宅設計の考え方』を読了。600ページ近くある大著なのですが、一気読みしてしまいました。一気読みという言い方をすると、ありがたみが薄れてしまいますね。氏が書かれている訳ですから、単なる作品集であるはずはなく、そこには時代に対する批評精神が詰まっており、その先にある設計の上達に結びつく内容になっていることが想像できます。背筋をピンと伸ばし、1ページ、1ページ噛みしめながら読もうと思っていたのですが、、、

 

建築家は、よく「空間」という言葉を使いますね。「身体的」という言葉も見聞します。どちらも元来は哲学用語で、上手く使えば格好よく聞こえますし、下手に使えば論理の飛躍が否めません。本書の中でも登場する言葉なのですが、格好よく使っているわけではありませんし、飛躍もありません。それはモノづくりの現場を通して、職人と対峙し、住まい手の暮らしをイメージする中で、ヒトとモノとの関係性の追求から自然と出てきた言葉だからなのだと思います。

 

本書では、思想、手法、存在の三つがより深くかみ合うと、建築としての深みを増すと解説されています。氏の作ってきた建築が、それを体現しているのですが、本書自体もそのような構成になっており、まさに身体的に訴えかけてくる内容でした。だから惹き込まれ、めくるページに手を止めることができなかったのだと思います。何冊刷ったかは知りませんが、高額図書ゆえ安易に増刷することはできず、この手の本は売り切れ必至。その後はプレミア価格になることでしょう。まぁ簡単に手放す人はいないでしょうが。。。購入はお早めに、コチラ≫