広間は、6帖の畳に、階段を入れると8帖、さらには縁甲板が廻り、廊下や玄関と一体となる空間なので、一般的な6帖の間よりも大きく感じます。
勾配天井なりに、ロフトとも一体となった空間。5寸角の大黒柱が屋根まで伸び、鴨居上の欄間には透明のアクリル板が嵌っています。間仕切りを閉めても、上部では紀州ヒノキの木組みが大らかに繋がって見える空間構成。
ペンダント照明は、デンマークの建築家、ヨーン・ウォツォン(シドニーのオペラハウスの設計者)がデザインしたもの。素材はコッパ―(銅)。北欧アイテムは、日本建築とも相性が良いですね。階段や縁甲板などの造作材にはヨーロッパ産のオークを使っており、和の心を大切にしつつ、モダンな設えになるよう心掛けました。
間仕切りは明かり障子。現代において、障子といえば窓の内側に設けるものと思われていますが、元来は建具の総称。中国伝来であり、視線を遮る屏風や衝立が始まり。平安時代に引戸が日本で発明され、引き違いへと発展したのが襖障子や明かり障子。障子紙で濾された光、組子の陰影には、何ともいいがたい優しさを感じます。
障子の組子は横繁。足元はさらに細かな縦繁とし、変化を付けています。和室では畳の上に座って過ごすことになりますね。視線が向かう重心を低くすることを狙っています。また障子紙を組子の裏と表に変えて貼っているので、反対側から見ると様相の違った趣にもなっています。