最後に訪れたのは、茅野市にある『神長官守矢資料館』です。
1991年に竣工した建物で、設計・監理は藤森照信氏+内田祥士氏によるもの。
屋根に葺かれた鉄平石。
外壁は、サワラの割板。その変色具合が、屋根の鉄平石と絶妙にマッチしております。
内部は、落ち着いた佇まいで、居心地はとても良いです。
ドアの引手、階段手摺、丁番、スイッチプレートといった金物は、鍛鉄作家・松岡信夫さんによるもの。松岡さんの工房には、5年前に家づくり学校2年生の授業でお邪魔しております。その1≫、その2≫、その3≫、その4≫
外構にも鉄平石が多用されています。この鉄平石の大きさ、厚みは、ダイナミックです。
石というと硬くて冷たいイメージですが、
この石の上に座り込んでみると何とも言えない肌触りで、とても優しい感じがしました。
水路の側溝の蓋にも鉄平石。
三和土に埋め込まれた鉄平石の沓脱石。品を感じます。
近くには「空飛ぶ泥舟/2010竣工」と「高過庵(たかすぎあん)/2004竣工」もあります。藤森さんの仕事は、楽しそうです。
これにて『鉄平石』の紹介は、お終い。
次回9月は、2年生4回目『建具』になります。
「鉄平石」の可能性を求めて
設計者としては、建築の仕上げを決める際、図面に素材の指定をするだけでなく、
その活かし方まで追求したいものです。
鉄平石は、そのような設計者の力量が試される素材であると考えます。
鉄平石が他の石と異なるのは、岩石を切り出すのではなく、割り出すこと。
そのため、形、大きさ、厚みという点において、同じものはない。
鉄平石を扱うに当たって、そこが難しい点です。
ゆえに職人さんの腕次第となりがちですが、そこに可能性を感じます。
現在の産業形態として、産出、加工、販売、施工が分業化され、
その全体性が見えづらくなっています。
設計者自らが産地を巡り、原石に触れ、職人さんの仕事を知り、
繋がりを持つことは、これらを統合する行為でもあります。
これからの設計者には、この統合力が求められるのではないでしょうか。
これこそが、ものづくりの原点だと考えます。








