五感にうったえる | 築紡|根來宏典

築紡

築紡

loader
ブログ
ブログ

2024年4月22日(月)

五感にうったえる

3年連続の訪問。京都には「夏の室礼」という文化があります。開口部を襖・障子から、簾・簀戸に衣替えすること。一昨年は通常の設え、昨年は夏の設え。この2年はともに晴れ間だったのですが、今年は小雨。季節や天候の変化による五感へのうったえかけが数寄屋の魅力。

 

寄付、鎖の間、立礼席、土間、渡り廊下、外腰掛、小間、広間、、、それらと一体となった露地やお庭、雨に濡れた艶感、しっとり感の美しさの連続に心が打たれます。特に小間前広縁の空間構成は秀逸。池に張り出した吹き放しの広縁。そこには簾(普段は障子)は垂れ下がり、足元を透かした様相は孤篷庵忘筌の間を彷彿させつつも、オリジナリティに富んでいます。その広縁足元には遣水が流れ、なんとも風流なこと。前庭の稲穂垣、奥庭に畳まれた鴨川の真黒石、遣り水底の深紅に輝く春日部石も美しい。門の向こうは写真撮影禁止です。