暑い夏の聴竹居 | 築紡|根來宏典

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2023年7月24日(月)

暑い夏の聴竹居

山城国と摂津国との境、山崎の戦い(羽柴秀吉と明智光秀の激突)の地に建つ『聴竹居』に行ってきました。建築家・藤井厚二(1888-1938)の5回目の自邸。

 

それにしても暑いですね、、、あえてこの暑い時期に足を運びました。聴竹居の魅力は、洋風と和風そしてモダンを統合したデザインということもあるのですが、パッシブ(自然のエネルギーを生かした)な建築計画にもあります。「家のつくりようは夏をもって旨とすべし」とう格言がありますね。藤井厚二は日本で最初に「環境共生住宅」を志向した建築家といわれ、この住宅にはその試みが散りばめられています。そういったことは、書籍で学んだり、残された図面でも読み取ることができるのですが、設計者として重要なのはそれを体験すること。近年、環境配慮型の住宅に注目が集まっておりますが、本質からズレているように思えてなりません。暮らしとは何なのか?豊かさとは何なのか?を考える、原点のような住宅です。

 

聴竹居は、これまで本屋のみの公開だったのですが、閑室、茶室(下閑室)と庭園の整備が完了し、9月以降は全公開されるそうです。植栽計画の記録も残っていたそうで、全て当時の設計通りに配植されたそうです。藤井厚二はモミジとナンテンが好きだったとのこと。秋の紅葉時期は映えるでしょうね。春夏秋冬、雨の季節、それぞれの楽しみ方がある建築です。