利休の茶室 | 築紡|根來宏典

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2023年7月26日(水)

利休の茶室

山崎の合戦(1582年)において、秀吉が千利休に作らせた茶室があります。ご存じの人も多いかと思いますが、現存する利休唯一の茶室『待庵(国宝)』です。合戦後、その茶室は解体され、江戸時代にここ妙喜庵に移築されたそうです(諸悦あり)。

 

二畳隅炉室床付きの茶室。躙り口は、淀川の屋形船の入口がヒントになったといわれており、ここ待庵で初めて実践したと言われています。今の一般的な躙り口に比べると一回り大きい。床の間の入隅を土壁で塗りまわす室床も利休が始めたもの。手前座の入隅も土壁を塗回し、炉は小振り。利休が目指した初期的な試みが窺えます。駆け込み天井と棹縁天井の立体構成、下地窓、ワラスサが表出した荒壁なども見どころ。狭い空間をいかに広がりを感じさせるか、利休の美学が詰まっています。二畳の間に続く次の間も見逃せません。一畳+八寸脇板の構成で、二枚の太鼓襖を取外せば、三畳に広げた茶の湯の空間となります。今回は人生2度目の見学。写真撮影は禁止です。