梅雨の季節、蒸し暑いですね。こんな季節だからこそ訪れたい場所。苔寺こと、西芳寺に行ってきました。現在の庭園の原型は、無窓国師により1339年に作られたもの。当時は白砂青松の姿だったそうです。応仁の乱、戦国時代の到来、幾度とない西芳寺川の氾濫があり、さらには廃仏毀釈により荒廃してしまったお寺。それらのことが苔の繁茂をもたらし、皮肉にも現在の魅力となっています。自然の力って凄いですね。境内には120余種の苔が覆っているそうです。
この苔庭とともに楽しみにしていたのが境内に佇む茶室『湘南亭』です。西芳寺は千利休の継子・小庵が隠栖した地であり、湘南亭はその小庵の作と言われています。千家2世と言えば聞こえは良いですが、利休切腹後の不遇の時代。その後、宗旦を経て3つの千家に分かれますが、小庵なくしてはその家系は途絶えていたわけですね。茶室への入口は貴人口。内部の大きな特徴は「亭主床」を持つこと。手前座の脇に床の間がある珍しい設えです。広縁も大きな特徴。茶室から広縁越しに臨む林泉を、広大な床の間に見立てていると言われております。