批評精神 | 築紡|根來宏典

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2020年10月19日(月)

批評精神

新書、吉田研介著の『コルビュジェぎらい』。大切なことを、茶目っ気たっぷり、ユーモラスに論じられているところが先生らしい。

 

それにしても批評ってしにくい世の中になりましたね、、、それはコロナ禍により益々進むことでしょう。もちろんそれ以前からのこと。SNS等の出現も要因の一つ。日本人の気質といってしまえば、それまでかと。強い意見、多数の意見に乗っておいた方がお得ですし。ビジネス的には、その方が正解なんでしょう。誰だっていい人と思われたい。その方がラクだし。面倒なこと言わず、楽しく過ごそうよ。合理化・効率化という名の事なかれ主義。場を乱すと、KYなんて言われてしまいますしね。

 

そんな社会傾向ですが、はて?それでいいんでしょうか、、、建築業界も同じ構図。本書では、コルビュジェを取り巻く環境への批評が述べられていますが、似たような構図は多々あるかと思います。自己で判断するための物差しを持つこと。それは主観ではなく、客観的であること。それには論理的に分析・考察することが必要。本書に書かれている内容を笑い話で終わらせる人がいるかもしれませんが、実は奥が深い。目を覚まさないとですね。建築家であり、教育者でもある吉田先生が鳴らす警笛。今、この時に出版されたことに意味を感じます。以前、吉田先生が主催された「建築家が集まる暗い会」も奥の深い時間だったな~懐かしい。コチラ≫