キッチン側から室内を見返した様子。
コーナー柱のない和室。小上がりの畳スペースの2面に障子を建て込んでいるのですが、その角に柱や吊束は設けていません。つまり鴨居が宙に浮いている訳ですね。空間に一体感を持たせるためには、仕切りはない方が良いのですが、来客時の寝泊まりを考えると、仕切りを設けたいと建主さんの要望。設計サイドでディテールを考えて施工サイドに指示するのですが、大工さん泣かせな仕事かな???と思いきや、難なく作ってくれました!機能的にも視覚的にも邪魔にならず、空間が広く感じられると好評です。
床は厚さ30㎜の杉板。しっかりした踏み心地と優しい肌触りが足裏で感じることができます。30mmもの厚板を使っているので、下地に合板は敷かず、大引の上に直敷き。仕上げには、桐の油を塗っています。時とともに味わい深い飴色になる素材、時間の経過が楽しみ。
小上がりの縁甲板は名栗。表面を刃物ですくい取るように削り、凹凸を出すひと手間加えた仕上げ。元々は、柱や梁の下処理だったのですが、利休が茶室に持ち込んだ詫びた世界観であり、使った道具や手づくりの痕跡を残す味わい深いもの。名栗は、もちろんクリ以外の樹種でも加工できるのですが、ここでは名前が表すように元来の意味でのクリを採用。優しい手触り、足触りであり、座り心地が良いのも魅力です。畳は縁なしの琉球畳。熊本産の本イグサ。イグサの香りに心が落ち着きます。