採石場を後にし、我々が向かったのは、鉄平石による屋根葺きの民家。
石質は硬く、耐火性、耐候性、耐重性、耐酸性が高い鉄平石。薄くできる特性を活かし、屋根に葺かれてきた素材でもあります。諏訪地方は「あゝ野麦峠」でも知られるように、製糸で栄えた街。住宅だけでなく、繭蔵の屋根にも多用。屋根材以外にも、庭の飛び石、側溝の蓋、漬物石、等々、古くから使われてきたそうです。
一軒目は、旧山上宮坂製糸所(事務所、工場、再操工場、居宅)の跡地。鉄平石葺き屋根をはじめとする諏訪地方特有の住宅建築を見ることができます。二軒目は、現在も住まわれている一般のお宅。鉄平石で屋根を葺くことは、当時、一種のステータスだったのだそうです。