鉄平石の採石場 | 築紡|根來宏典

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2019年8月27日(火)

鉄平石の採石場

7月のこと、家づくり学校2年生の授業『鉄平石』で、長野県の諏訪に行って参りました。引率講師は家づくりの会の福田隆一先生、現地世話役は藤森鉄平石の細田さん。産地としては、京都府の丹波鉄平石、徳島県の阿波鉄平石、埼玉県の武蔵鉄平石も挙げられますが、代表的なのは長野県の諏訪、佐久に広く分布する鉄平石。ここ諏訪では、最盛期には10社以上の業者が採石していましたが、今では輸入材や工業製品に押され、3社ほどに減っているのだそうです。

 

諏訪鉄平石は、およそ2400年前、霧ヶ峰火山の活動により誕生した石。その活動によって2㎝前後の水平に積み上がった岩石の層を板状節理、さらに3~5m幅で垂直に積み上がった層を柱状節理といいます。鉄平石は、その節理に沿って層状に剥がれる特徴を持つ輝石安山岩。山肌に岩の節理が露出している採石場の風景は圧巻です。

 

 

職人さんが石を薄く割る姿を目の前で拝見。節理を見極め、ノミを打つと、水平にひび割れが浮き出て、薄く剥がれます。節理に沿うと、さらに薄くもできるそう。熟練の方ほど、石の目を見極める能力が高く、使われる用途を早く見極めることができるので、動きに無駄がないのだそうです。さらに小さく割るには、希望サイズにノミで傷をつけて、石の下に台座を挟み、テコの原理を使ってハンマーで叩き割ります。

 

石を切り出すのではなく、割り出すこと。チェーンソー等の機械を使わないことが特徴。出荷を待つ鉄平石。どれ一つとして、同じサイズ、厚み、色合いのものはありません。工業製品化された建材に慣れた近代的な建設現場では、扱うのが難しい素材ですね。サイズも様々、色も様々、小口も様々、表情も様々。そこに魅力を感じます。様々な使い方の可能性を感じる石なのであります。鉄平石の使用事例は、コチラ≫