朝鮮最高の富を誇った名門のお宅。
朝鮮時代に建てられた民家としては最大の規模。朝鮮王朝500年の歴史で、大臣13人、王妃3人、王の婿4人を輩出。3000坪の敷地、7つの棟、99の間から構成され、それぞれの開口部からは朝鮮ならではの美しいお庭が臨める構成。99間は民間人が建てられる最大の規模で、それ以上は王様以外許されなかったそうです。
門の先には、沖縄の「ヒンプン」のような壁が立っています。これは「内外壁(ホッタム)」といい男女差が激しかった時代のもの。塀の奥に母屋(アンチェ)という女性の暮らす空間があり、それを隠す役割。男性は左側を通って男が暮らす舎廊棟(サランチェ)へ、女性は右側を通ってアンチェへと動線を分ける役割でもあります。
大きな舎廊棟と小さな舎廊棟があり、大きい方は一番上の主人、小さい方は長男の生活空間。その間には母屋へと通じる潜り戸があります。
こちらの写真は、大きな舎廊棟。品格を感じる空間。舎廊棟には、大丁(テーチョン)と舎廊房(サランバン)があります。大丁の床は朝鮮張りで風通しが良く、主人の接客の場であり、夏の普段の居場所や寝床として使われるとともに、庭(マダン)と一体となって各種儀式を行う場。舎廊房は密閉度の高く、床下にオンドルを設えた暖かい居室。左手の4枚扉の部屋は、ヌマルといって舎廊棟の客が泊まるお部屋。
右手扉の開いた舎廊房が、その夜のワタクシメの寝床。ここに泊まりました。大丈夫か、俺、こんなところで寝ても、、、と思う贅沢な時間を過ごさせて頂きました。
大きな壷が置かれた裏庭。キムチ、梅、味噌、醤油、、、を漬ける壷ですね。昔はもっとたくさんあったそうですが、形の良いものから盗まれてしまったとのこと。オンドルのための煙突が立ち並ぶ様子も分かります。今も半数のお部屋は、薪を燃やして暖房する本物のオンドルだそうで、ワタクシメもその恩恵に与りました。
美しいと思った風景を、もう2カット。一枚目は男女の空間を仕切る土塀。丸い穴は、デザインか通風のためかと思いきや、女性がこちらのイケメンを覗き込むためのものだそうす。2枚目は裏庭の長閑な風景。塀の向こうには、近隣お宅の瓦屋根を臨むことができます。敷地の高低なりに周された土塀。朝靄と同化する様相が美しい。
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