河回村の近くにある「屏山書院(ビョンサンソウォン)」。
河回村とともにユネスコ世界文化遺産に登録されています。書院建築最高の美学といわれる建物。李朝中期は書院精神が盛んに復興していたそうで、その時代に建てられたもの。河回村出身の領議政(総理大臣)を務めた柳成龍が弟子たちに教えを諭した場所。日本でいう書院とは違い、優れた学者の学徳を祀り、青少年の教育を行なう場。儒学を学ぶ私設の教育機関で、両班の子弟のみが入学を許されたそうです。
入口の「復禮門」をくぐると、自然の地形を活かした伽藍。まずは山門のように座する「晩対楼」。儒学生が集まる講堂なのですが、宙に浮いた楼閣のようでもあります。高床式の足元をくぐって中庭に出る構成。
奥に座する「立教堂」。いわゆる講堂ですね。そこから見返した様子。
左右には儒学生たちの寄宿舎であった「西棟」と「東棟」。
中庭を挟んで楼閣のような「晩対楼」。
その向こうの眼前には、屏風を広げたようにそそり立つ山々の優雅な風景。
これが屏山書院の名前の由来。
重厚な構造体でありながら、伸びやかな様相の「晩対楼」。
四周は開放され、右手には、眼下に川、その向こうに屏風のようにそそり立つ山。
左手には、中庭を中心とした書院の伽藍が広がっています。
見事なウムルマル。厚い床板を井の字型に組んだ板間のこと。いわゆる朝鮮張りですね。現代の日本住宅では、大引の上に合板、その上にフローリングを張りますが、朝鮮張りは、床梁がそのまま仕上げとして現わしに。その上端とそろえて、分厚いマツの板が嵌め込まれています。差し込み式になっており、釘を使わない工法。板を「敷く」とか「張る」というよりも「組む」という方が適切かと思います。均一な美しさではなく、この不均一さが自然であり、素材を感じ、趣があります。ウムルマルもそうなのですが、建物全体が意匠と構造、そして自然や素材とが一体となった建築。
こちらの建築で特筆したいのは、百日紅(サルスベリ)。
見事な百日紅がたくさん植わっておりました。
建物と地形、塀、百日紅が一体となり、本当に美しい建築です。
家づくり学校修学旅行でのお話。来期受講生募集中。お早めに。コチラ≫