京都東山の高台に佇むウェスティン都ホテルにも行ってきました。
目的は別館『佳水園(1959年竣工)』を見ること。
建築家・村野藤吾(1891-1984)の設計による現代数寄屋です。
しか~し、、、2020年春までリニューアル工事中とのこと(涙)
残念と思って肩を落としていたのですが、佳水園を鳥瞰できる場所を発見!
敷地の高低差を巧みに活かし、薄い庇が連なる様相が美しい。
建築はアイレベルで見るものだと思うのですが、
その美しさを作り出している構成を俯瞰して見れたことはラッキーでした。
普通に見学できていたら、こんなアングルで見る機会はなかったかもしれません。
1世紀以上の歴史あるホテル。見どころは他にも沢山あります。
ホテル全体も村野藤吾の設計。文化的価値の高い二つの近代庭園もあります。
一つはこちらの写真・葵殿庭園。大正14-15年、小川治兵衛(植治)による作庭。
南斜面に広がる三段の滝で構成された池泉回遊式庭園で、
琵琶湖疎水の水が使われた水量豊かな構成。
もう一つは佳水園庭園。今回はリニューアル工事中で見れませんでしたが、
葵殿庭園の南斜面の上に広がっています。
昭和8-9年、小川治兵衛の長男・小川保太郎(白楊)による作庭。
白楊は、石造品や石の扱いにおいては父・植治を凌ぐ技量を持っていたそうです。
この階段、美しい!
立上りは御影石の小叩きで縁取り、踏面は石の小端立て洗い出し、
回り部分は放射状に敷き詰め、放射軸部分には景石を添えております。
こちらは、彫刻家・井上武吉が作った「哲学の庭」。ゆったりとした中庭に、
モダンな水盤、水路、滝で構成された立体的な造形。
銀閣寺から南禅寺へと続く「哲学の径」。
ホテルは南禅寺の南に位置し、こちらのお庭は、
哲学の径をしめくくる「無」の世界を作り出しているのだそうです。
古都京都を一望できるロケーション。
北側には南禅寺界隈や琵琶湖疎水・蹴上インクラインの景色が広がっています。
南禅寺界隈は、元は南禅寺の土地。明治新政府が召し上げた後、大部分が民間に払い下げ。明治から昭和初期にかけて財閥や政財界の方々がステータスを競って建てた別荘郡。今も15の広大な別荘が残っているそうです。
東山の景観と琵琶湖疎水の水を活かした庭園の多くは、植治が手掛けています。
これら別荘の門は固く閉じられており、中を見ることはできません。
見ることができたとしても、見たことを人には言ってはいけない場所なのです。
この先に広がる未知の世界に思いを馳せてきました。