西川材 その4 下小屋 | 築紡|根來宏典

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2017年12月1日(金)

西川材 その4 下小屋


最後に訪れたのは、同じく飯能にある『吉澤建設工業』さん。

伝統工法でつくる家を得意としている工務店さんです。
早速、下小屋を見学させてもらいました。
下小屋とは、大工さんが工事に使う木材を加工したり、保管する場所。

運が良ければ、墨付けや手刻みの仕事を見ることができるのですが、今回は残念。
その代わり、近くで上棟したばかりの現場があるということで見せてもらうことに。
その前に、手刻みの場合の土台継手や、柱と梁の仕口をモックアップで解説。

継手と仕口は混同して使われがちですが、
継手とは、長い材が必要な時に材同士を継ぎ足す取り合いのこと。
仕口とは、方向の異なる二つ以上の材を接合したり交差させる取り合いのことです。

土台や小梁の継手に使われる「鎌継ぎ」。もっともよく使われる方法です。
プレカットでも同じ継手があるのですが、
こちらの方が一手間加え、手の込んだ刻みになっています。

伝統工法における柱と梁の仕口。
通柱に対し、四方から梁が取付く場合です。
どのように組まれているのか、想像が付きませんね、、、

分解して解説。複雑な刻みで、大工さんって凄いと思います。
ただし通柱には欠点もあり、見ての通り細工が多くなるほど断面欠損が大きくなるため、
接合部の強度が落ちることに。設計者として、このことを理解しておく必要もあります。

いよいよ現場へ。西川材で建てられた地産地消の戸建て住宅です。
午前中、森林現場を見せて頂いた井上さんの山で伐採された杉とヒノキ。
素材生産者の顔の見える家づくりって、やっぱり良いですね。

これにて、今回の西川材を巡る木材のお話は、お終いです。
山を育て伐採するところから始まり、木材のプレカット、軸組の上棟までを見学。
伝統的なもの、現代的なもの、どちらが良いということではなく、
相互の長所短所を理解し、短所を補い、長所を活かすこと、
それが設計者として大切なことと思いました。

根來宏典建築研究所