岐阜提灯の技術です。 | 築紡|根來宏典

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2017年3月24日(金)

岐阜提灯の技術です。


事務所から自転車で10分程の所にある「岐阜提灯」の会社にお邪魔してきました。

岐阜提灯は、美濃の良質な和紙や竹を素材とし、
らせん状に巻かれた細い竹ヒゴに和紙を貼る江戸時代より受け継がれてきた伝統工芸。
そんな岐阜提灯の会社営業所が、日本橋人形町にあります。

上の写真は、その2階。「ISAMU NOGUCHI AKARI EXHIBITION」となっています。
彫刻家イサム・ノグチ(1904-1988)と岐阜提灯との出会いは、1961年。
長良川の鵜飼を見物するために岐阜に立ち寄ったことが始まりだそうです。
光の彫刻として誕生した”AKARI”は、その高い芸術性を世界中から評価されています。

ここでは実物を見ながら、デザインのプロセスを窺い知ることができます。
写真右手のものは、代表的な岐阜提灯。”AKARI”の原点です。

上の段は”AKARI”の初期モデル(1950年代)。
竹ヒゴの間隔が細かく均等で、シェードの上下に木の口輪が付いています。
日本人にとっては葬儀用提灯のイメージがあり、あまり好まれなかったそうですが、
外国の方には大いにもてはやされ、よく日本土産として用いられたそうです。

1960年代(写真下段)になると、竹ヒゴを不規則に巻いたDシリーズ(でたらめのD)、
鏡餅や茄子などの多種多様な形をしたNシリーズ(ニューあかりのN)、
竹ヒゴを使わず、和紙を折り込んで形成したPシリーズ(プレーンのP)が考案。

さらに1980年代には、スタンドの脚を蜘蛛の足のようにしたUFシリーズ、
鋳物の重りに竹の棒を立てた脚のBBシリーズへと変遷していきます。

「HOW TO MAKE A PAPER LANTERN」
こちらは”AKARI”の竹ヒゴを巻いたり、和紙を貼ったりする型。
職人による手づくりの様子を窺い知ることができます。

多くの”AKARI”に囲まれ、幸せな時間。
近年は、インターネットにより簡単に手に入るようになった”AKARI”ですが、
こんなに沢山の”AKARI”が見れるのは、ここの会社だけ。
イサム・ノグチとの高い信頼関係のもと”AKARI”の指定工場になっているのですから。

イサム・ノグチは、35年の歳月をかけて、200種類以上もの”AKARI”を生み出し、
そのシリーズは、じつに100作以上も発表されているそうです。

さてさて我が家で10年ほど愛用している”AKARI”。
シェードの上部が破れてしまいました、、、
シェードだけの交換は可能で、本体価格の6割ほどでお願いできるそうですよ。

根來宏典建築研究所