続いて訪れたのは、国宝『安楽寺八角三重塔』。別所温泉街の奥地にあります。
お湯に浸かりたい気持ちを抑えつつ、雪の中、足を進めます。
安楽寺は、1288年に開山した禅宗の寺。後に曹洞宗に転宗されています。
信州最古の禅寺で、国宝、重要文化財を多く残します。
大法寺同様、山腹に点在する伽藍で、八角三重塔は一番高い所に建っています。
木立の中、足を進めると、高台の上にその姿を現します。
遠くからでも品格の良さ、オーラを感じ、期待感高まります。
塔の建立は鎌倉時代末期(1290年代)で、日本最古の禅宗様建築(唐様ともいう)。
高さは18.75m。2011年に、屋根の杮葺きの全面葺き替え(60年ぶり)、
相輪の補修(100年ぶり)がされたそうです。
近づくと、大きな軒の出、繊細さに目を奪われ、ダイナミズムを感じます。
一見すると四重塔に見えますが、最下段に大きな裳階(もこし)を付けた三重塔。
裳階は、雨風から建物の足元を守るための庇や霜よけで、塔全般の特徴。
日本に沢山の塔が現存しているのは、
裳階が塔の足元を固める構造的な役割も担っていたのが要因とも言われています。
八角塔としては、日本に唯一残るものだそうです。
塔の中心を基点に、垂木を放射状に掛けた扇垂木。手間の掛かる仕事です。
詰組や連子格子は禅宗建築の特徴。それにしても見事です。
こちらの塔は、下から見上げるための意匠になっていると思われます。
裏山に上って見てみると、そう感じます。なるほど、と思います。
裳階、初重、二重の屋根勾配が緩やかで、各重の間隔が狭い。
それでいて、三重の屋根が急こう配。
これは下から見上げた時に、軒の広がりを大きく見せる演出とともに、
相輪もきちんと見せようとしているための工夫かと思われます。
こちらは、特別に内部を見学させていただくことができました。
内部は、内陣と外陣に分かれ、八本の柱で仕切られています。
中央には、八角の須弥壇に仏像が鎮座。
弓欄間から漏れる僅かな光は、お釈迦様のお顔を照らします。
塔は通常、お釈迦様の遺骨を安置するものですが、仏像が置かれているのは珍しい。
外陣を左回りに一周すると、収納されているお経を読むのと同じご利益があるのだとか。
柱と自然石の間には、礎盤。高さを整える調整材で、禅宗様の特徴。
腐食しやすい部位であり、大変でありながらも腐食した場合は取り換えられます。
こちらの塔では、1983年に塔全体をジャッキアップして取り換えたそうです。








