土を学ぶ その3 焼いた壁 | 築紡|根來宏典

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2016年3月28日(月)

土を学ぶ その3 焼いた壁

常滑を後にした我々一行は、一路北上し、瀬戸、尾張旭を目指します。訪ねたのは、ベイスの横井敦彦さんと、ワッツビジョンの横井暢彦さん。お二人は兄弟。日本で唯一、手づくりでタイルを焼いてくれる会社です。ちなみに手づくりタイルは、こちらの会社の特許だそうです。

 

現場毎にオリジナルなので、ショールームやカタログはありません。工業製品にはない、手づくりの良さを伝えます。それにしても凄い、、、お二人のタイル”愛”。目指すは「タイルやレンガではなく、焼いた壁」なのだとか。といった理念的なことから、赤土/白土、湿式/乾式、無釉/施釉、還元焼成/酸化焼成といった技術的なことまで、色々と解説してもらいました。訪れたのは土曜日。休業日なのですが、特別に作業の様子を見せてくれました。タイルにラフで自然な表情を出すべく工程です。

 

 

タイルの土が採取される鉱山にも案内いただきました。今では危険で立ち入り禁止となっているのですが、横井兄弟は、小さいころ、鉱山の中を駆け回っていたのだとか。閉山された鉱山は、工業団地などに整備されるそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実際に横井さんたちが貼ったタイルの事例も2件ほど見せてもらいました。まずは地元銀行の壁。グレイの「一丁掛け」。目地は「シノギ目地」。

 

代表的なタイルのサイズに「二丁掛け」というのがあります。30mm巾を基にして、227×60mmを二丁掛け、227×90mmmmを三丁掛け、227×120mmを四丁掛けと呼ばれます。上の写真は、二丁掛けの半分なので「一丁掛け」となるのですが、そもそもこのサイズは特寸であり、一丁掛けという呼称はないようです。

 

「シノギ目地」というのは、専門のタイル屋さんでも御存知ない技法。埃がたまらないように目地のモルタルを斜めに詰めたもの。もちろん手間と腕が必要な技法です。横目地の陰影も強調され、とても良い感じだと思います。

 

 

もう一件は住宅。茶色の「二丁掛け」。目地は「ツラ目地」。これ以上公開できないのは残念ですが、素晴らしすぎる住宅です。雨に濡れたタイルに風情を感じながら外観を拝見していたところ、たまたま、お住まいの奥さまが帰宅。「良かったら上がって、中も見て行って下さい」と。ラッキー!気さくな奥さまと雨に感謝。設計者のこと、住み心地のこと、、、色々とお話し下さいました。

 

自然の素材を使って、手づくりで作るのですから、タイル一枚一枚に個性が出ます。均一ではありません。その不揃いさにクレームを付けられては困るので、信頼関係のある人の仕事しか受けないそうです。タイルを貼る技術も要するため、材工一体でないと受けないタイル屋さん。といいますか、タイルは素材そのものも奥深いのですが、目地が肝心。意匠に大きく影響を与えます。つまり良い素材のタイルを選ぶのと同時に、目地を詰める良い職人さんがいないと、素材の良さが惹き出せないのです。冒頭で仰った「焼いた壁」という意味が、やっと分かったような気がします。

 

当日は、横井敦彦さん奥さまの熊谷夏香さんとお子さんも駆けつけてくれました。
横井さん&夏香さん&根來で一緒に手掛けた仕事は、コチラ≫