11月17日、家づくり学校2年生第6回目の授業として、『左官』の勉強をしてきました。
訪れたのは、東中野にある富沢建材さん。
こちらの会社は、左官の聖地と呼ばれるほどの左官材料の宝庫。
品揃えの良さ日本一を誇る左官建材屋です。
そして今回、左官の基本をご教授いただくのは、左官職人・木村一幸さん。
明治初年創業の老舗・木村左官工業所の7代目です。
今回も、なんとも贅沢な授業となりました。
まず富沢建材さんには、『塗り壁展示室』が設けられております。ここが凄い!
土壁(大津磨き・水捏ね・糊捏ね・引き摺り・掻き落し仕上げ)、
漆喰(土佐漆喰磨き・藁入り磨き仕上げ・生石灰クリーム)等が展示されております。
しかも、実際に見て触って、その風合いの良さを体験することができる。
この展示室は、左官界の巨匠・榎本新吉氏の監修により、
現代を代表する左官職人の作品が展示されております。
こちらは、挟土秀平さんの作品。最近、注目を集めている左官職人さんですね。
こちらは、小沼充さんの作品『黒大津磨き仕上げ』。日本一磨きの上手い左官職人です。
今回の授業では、土壁と漆喰の塗り体験を通して、左官の基本を学びます。
左側の黄色い土は、貴重な土です。右側の白い方は漆喰。
京都伏見で採れる黄土で、10〜15年前に採れた土だそうで、現在はもう採れないのだとか。
採れた土は、フルイに掛け、粒子の細かさごとに分けます。
最も細かい物を左官材料として使うのですが、粗い物も捨てずに使うそうです。
例えば、粗い砂利などは、豆砂利洗い出しとして使ったり。左官は、捨てる物がないとのこと。
ワラスサにも色々な種類があります。
クラック防止と思われているのですが、保水性にも重要な役目があるのだとか。
ワーカビリティを高め、急激な乾燥を防ぎます。
土壁は、これらに砂を混ぜるのですが、
関東の砂(荒木田など)は黒っぽく、下地には良いが、
仕上げで美しい色を出すには適さないそうで、関西の砂の方が良いそうです。
こちらは、北海道日高産の『黒葉銀杏草』。角又と呼ばれる海藻ですね。
これを煮て出てくる糊と石灰とスサを混ぜると、漆喰の材料となります。
近年、既調合の材料が販売されておりますが、拘りある天然素材を使う職人さんも居ります。
木村さん曰く、労力を惜しまないこと。
現場で塗る作業だけでなく、夜帰ってから行う仕込みの作業が大切なのだそうです。