左官 その1 土壁と漆喰の素材について | 築紡|根來宏典

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2012年11月26日(月)

左官 その1 土壁と漆喰の素材について


11月17日、家づくり学校2年生第6回目の授業として、『左官』の勉強をしてきました。

訪れたのは、東中野にある富沢建材さん。
こちらの会社は、左官の聖地と呼ばれるほどの左官材料の宝庫。
品揃えの良さ日本一を誇る左官建材屋です。

そして今回、左官の基本をご教授いただくのは、左官職人・木村一幸さん。
明治初年創業の老舗・木村左官工業所の7代目です。
今回も、なんとも贅沢な授業となりました。

まず富沢建材さんには、『塗り壁展示室』が設けられております。ここが凄い!
土壁(大津磨き・水捏ね・糊捏ね・引き摺り・掻き落し仕上げ)、
漆喰(土佐漆喰磨き・藁入り磨き仕上げ・生石灰クリーム)等が展示されております。
しかも、実際に見て触って、その風合いの良さを体験することができる。
この展示室は、左官界の巨匠・榎本新吉氏の監修により、
現代を代表する左官職人の作品が展示されております。

こちらは、挟土秀平さんの作品。最近、注目を集めている左官職人さんですね。

こちらは、小沼充さんの作品『黒大津磨き仕上げ』。日本一磨きの上手い左官職人です。

今回の授業では、土壁と漆喰の塗り体験を通して、左官の基本を学びます。
左側の黄色い土は、貴重な土です。右側の白い方は漆喰。

京都伏見で採れる黄土で、10〜15年前に採れた土だそうで、現在はもう採れないのだとか。
採れた土は、フルイに掛け、粒子の細かさごとに分けます。
最も細かい物を左官材料として使うのですが、粗い物も捨てずに使うそうです。
例えば、粗い砂利などは、豆砂利洗い出しとして使ったり。左官は、捨てる物がないとのこと。

ワラスサにも色々な種類があります。
クラック防止と思われているのですが、保水性にも重要な役目があるのだとか。
ワーカビリティを高め、急激な乾燥を防ぎます。

土壁は、これらに砂を混ぜるのですが、
関東の砂(荒木田など)は黒っぽく、下地には良いが、
仕上げで美しい色を出すには適さないそうで、関西の砂の方が良いそうです。

こちらは、北海道日高産の『黒葉銀杏草』。角又と呼ばれる海藻ですね。
これを煮て出てくる糊と石灰とスサを混ぜると、漆喰の材料となります。

近年、既調合の材料が販売されておりますが、拘りある天然素材を使う職人さんも居ります。
木村さん曰く、労力を惜しまないこと。
現場で塗る作業だけでなく、夜帰ってから行う仕込みの作業が大切なのだそうです。

根來宏典