しょうざん光悦芸術村 | 築紡|根來宏典

築紡

築紡

loader
ブログ
ブログ

2024年1月15日(月)

しょうざん光悦芸術村

江戸時代初期に本阿弥光悦が開いた芸術村。その一角、紙屋川の渓流沿いにある美しい庭園。造営したのは、西陣の呉服商・松山政雄(1911-1965)。紬や着物の良さを広めるための接待・貴賓客をもてなす場。現在は「しょうざんリゾート」となってます。

 

庭園を入って目に飛び込んでくるのは、紀州青石と北山台杉によるユニークな景色。北山台杉とは、一本の幹から数本の立ち木を仕立てる育林方法で、数寄屋建築などの垂木丸太として使われます。樹齢350~500年ものが3000本植わっているそうです。はじめは珍奇な風景と思っていたのですが、眺めていると可愛らしく思えてきました。奥に足を運ぶと、梅、椿、楓、紅葉などの樹々が立ち並び、足元の苔が美しい。池泉回遊式庭園となっており、迎賓館「峰玉亭」、川端康成も訪れた「玉庵」、裏千家十一世家元・玄々斎作「聴松庵」といった茶室が配置。特に気になるのは「酒樽茶室」。実際に使われていた酒樽だそうで、茅葺屋根を載せ、躙り口などの茶室要素が取りついています。可愛らしい建築で、中に入ってみたい。周囲を取り囲む石塀も美しく、隣接する茶花園の人からは大谷石と聞いたのですが、ミソはなく、滑らかで肌理が細かい。見た目は芦野石に近く、特に良質な大谷石の一種だと思われます。