ブックディレクターの幅允孝さんが主宰する私設図書館『鈍考』に行ってきました。場所は京都市左京区上高野。建築設計は堀部安嗣さん。建物を道路からセットバックさせ、石畳の駐車スペースは前庭のようなゆったりとした構え。緩やかな傾斜地に沿って、建物は浮いたような設え。ポーチの土間と庇が水平ラインを強調しています。玄関へと伸びるアプローチは、大谷石と苔のコントラストが美しい。
内部には約3000冊の蔵書。裏手には、手前に小川、奥にヒノキ林が広がっています。敷地内に残された一本の老木(桜)。全てが美しい。メディアという言葉が流布し、加速する情報化社会。本というのは初源的なメディアではありますが、その本質、鈍いメディアのあり方に共感します。しばし身を浸し、心が洗われてきました。丁寧に淹れて頂いた珈琲を味わいながら。