夏休みといいながら、真鶴に行ったのは建築の勉強のため。訪れたのは『中川一政美術館』。文化勲章も受賞した画伯・中川一政(1893-1991)から受けた寄贈作品を展示するための町立美術館。自然公園の樹林に包まれたロケーション。建物の設計は柳澤孝彦(1935-2017)で、1990年には吉田五十八賞を受賞しています。
細長く分節させた棟を、傾斜地の等高線に沿うように配置。緑青銅板葺きのボールト屋根の連なりが特徴的な建築。まずはキャノピーが来客者をお出迎え。ハイサイドライトは北側を向いており、ボールト曲面の肌を撫で下ろすように柔らかな光を採り入れています。特に3つのボールトが重なる2階ブリッジ部分の断面構成は秀逸で、ため息が出るほど美しい。真鶴に住む人の気質なのかもしれませんが、管理の方の対応が親切で、この建物への愛着が伝わってきました。