【川崎市立 日本民家園】私が興味を惹いたのは『菅の船頭小屋』。多摩川の渡し場にあって、船頭が客待ち、休憩、川の見張りなどに使用された小屋。桁行1.8m×梁行1.8m(つまり1坪)、招き屋根、杉皮葺きの可愛らしい小屋。四隅の柱には丸太を通す鉄輪が付いており、川の氾濫時には担いで持ち運んだそうです。普段は正面に障子戸が入っているのですが、この日は建具まわりを修復中とのことで、取外されていました。
内部は畳一枚、腰掛け、炉を設えた空間。裏手には小さな開口があり、対岸の客が見えるようになっています。かつて千利休は、淀川河畔で漁夫が船小屋に入る様子を見て躙口のヒントを得たという説がありますが、この船頭小屋の内部空間を見ていると、利休の世界観そのものを感じざるを得ません。