浴室と坪庭 紡|紀州のセミコートハウス その15 | 築紡|根來宏典

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2021年3月22日(月)

浴室と坪庭 紡|紀州のセミコートハウス その15

ご主人一番の拘りであった浴室。露天風呂を希望だったのですが、現実的には、、、そこで露天風呂感覚の浴室を提案しました。坪庭に面しており、扉を開け放すことができます。浴槽内部は十和田石。水に濡れると青く輝き、肌触りが良く、暖かみのある素材。框は耐久性の高い御影石、壁と床は滑りにくく保温性の高い芦野石。天井と框扉は水に強い青森ヒバ、坪庭の壁は自然な風合いの手づくりタイル。浴槽の背もたれは、もたれかかり易いように斜めにし、坪庭を眺めつつ、のんびりと寛げる構成に。自然の素材を活かした浴室。自宅で愉しむ旅館感覚のお風呂となりました。

 

平屋の住宅ですので、基礎の面積が大きい。室内の基礎面積は39坪。その全面に温水パイプを仕込み、コンクリートに熱を蓄える蓄熱式床暖房。フローリングを直接温めるものではありませんので、気兼ねなく無垢材も使えます。深夜電力を活用、熱源はヒートポンプですので、ランニングコストが安価なのが魅力。外出の際も、夜トイレに行く際も、朝起きる際も、家全体が暖かい。3匹の猫ちゃんと共に暮らす住まい。低温やけど等の心配もありませんし、この子たちにとっても好評のようです。

 

そんな蓄熱式床暖房は、フローリング部分だけでなく、玄関土間、脱衣室、浴室といった石敷きの部分にも入っています。石は蓄熱性が高いので、より効果的。ユニットバスに比べ、在来かつ開放的な浴室は、寒さ対策が大切。この浴室は、猫ちゃんにとっても居心地のよい場所のようで、浴槽の縁に乗って外を眺めていたりもします。坪庭正面に設けた地窓は、廊下足元に光を採り入れるためのものですが、そこからも猫ちゃんは出入りすることができる回遊性あるプランとなっています。

 

お引き渡し後、奥さまが浴室から見えるお月さんの写真を送ってくれました。お風呂で月見ができるとは、なんて素敵なことでしょう!秋は特に空気が澄んで、綺麗に見えますね。満月と太陽の位置は真逆。満月の南中高度は、夏低く、冬は高い(新月は逆)。「設計の狙い通り!」と答えれば格好良かったのかもしれませんが、嘘は言えず、、、「たまたまですよ」と申してしまいました(笑)月見風呂、贅沢ですね。