水鏡 紡|紀州のセミコートハウス その2 | 築紡|根來宏典

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2021年2月5日(金)

水鏡 紡|紀州のセミコートハウス その2

田圃だったところを宅地開発されたロケーション。敷地は南側の間口が広く、西側に回りこむように公道が延びています。その先は行き止まり。宅地としては、東側道路に面して駐車場を設ける造成だったのですが、あえて西側に駐車場を配置しました。将来的には公道が延び、その周りの田圃も宅地開発されるのでしょうが、それまでは自分たちの専用道路的に使えます。

 

道路と敷地とは800mm程のレベル差があり、その上に高さ1760mmの板塀を回しました。プライバシーを守るとともに、中庭のように囲われた落ち着き感を得るため。敷地周長が長いので、全てを板塀にしてしまうと景観が単調になってしまいます。そこで一部、タイル張りの壁を道路側に表しました。お庭の主目的はバーベキューをすること。そのためのベンチ、流し、外部収納を建築的に設えたもの。

 

 

西側外観(工事途中)の様子。他の宅地から半島のように突き出た不思議な形状。地形なりに切り拓いてきた農地の歴史を考えると、自然に生まれたユニークな敷地とも言えますね。土地が突き出た分、南側の空が開け、太陽の光を享受することができます。建物は平屋で計画。北側隣家への日射に配慮。片流れ屋根の形態で、高い所はロフトになっています。西側外壁は手づくりの炻器質タイル。西日に照らされ、柔らかな表情に。庇は低く抑え、ヒューマンスケールなプロポーション。軒裏には親しみが持てるように紀州ヒノキを貼っています。水田に映り込む、その様相が美しい。

 

水面に物が映ることを『水鏡』と言い、古くは平等院鳳凰堂でも見られます。行いを正し、人の模範になるとうい意味もあり。造成前に土地を購入。造成が終わる前、周りに住宅が建ち並ぶ前は、イメージしにくいことと思いますが、近隣環境との調和、かつ土地の個性を惹き立たせることを想像しながら、設計させてもらいました。