根來宏典建築研究所

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2020年11月6日(金)

三軒家@幻のプロジェクト

この仕事をしていると”幻のプロジェクト”になってしまうことがあります。そうならないように努力はするのですが、仕方ないこともあります。今回の場合、ローンの事前審査の段階で中断。審査書類として間取り図が求められます。建物に掛けられる予算が分からず、どうやって間取り図を作るの?しかも事前審査で?という気持ちもあるのですが、そういうシステムなのですから、、、ダミーでよいという通説があるのですが、ダミープランを作るということが出来ないワタクシメ、、、そんな無駄な時間を使いたくない。ついつい本気を出してしまいます。

 

今回は親世帯(次女同居)、長女夫婦(子供2人想定)、長男夫婦(子供2人想定)の3世帯が、100坪の土地を買い、分筆し、3棟を別々に新築する計画。建蔽率40%の土地。余白となる60%の土地を、いかに活かすかも重要なテーマ。道路から”みんなの広場(中庭)”に入り、そこから各世帯の玄関へと分かれるアプローチ。広場を明るくするため、南東角には駐車場と親世帯の平屋部を配置。視線を遮る塀を適宜配置し、広場から路地を通って各世帯の”プライベートコート”に抜けられるような設え。子供達が、時には広場で、時にはプライベートコートで、仲良く遊ぶ姿を想像しています。広場に面して土間玄関を設けています。キッチンは家の心臓部。キッチンに立つと、土間玄関越しに広場、ダイニング越しにプライベートコートに視線が抜けるプランニング。2階の子供室は、各世帯からも気配が感じれるように広場に面して配置。”ゆるやかに繋がり、ゆるやかに遮る”そんなことを考えながら、プランを練っています。

 

こちらの模型は、中断後に作りました。何故そんな無駄なことするの?と思われる方もいると思うのですが、本当にこの計画で良かったのか?広場やプライベートコートのスケール感は?各世帯の距離感は?そういったことを確認するため。記憶にも、身体的にも刻んでおきたい。こういった時間が私の血肉となり、設計の引き出しが増えていきます。という考えは大人としての側面なのですが、一方では純粋に作りたかったから。それくらい気に入っている計画。作りたくて、作りたくて、ウズウズしていたのです(笑)安藤忠雄さんが仕事のない時、空いた土地に、勝手にプロジェクトを立ち上げ、構想を練っていたのは有名なお話。それに比べれば具体的な計画性があるわけですから、まだマシな話ですね。コロナ禍により出来たゆとりある時間を有効に使いたい。ダミーのプランを作っていたら、そんな思いには至らず、自身の成長にも繫がりません。どっちが無駄な時間だって、、、経営者失格ですね(笑)

 

うちの場合、多世帯住宅の依頼が4割ほどあります。難しい半面、楽しい半面もあります。様々なタイプがあるのですが、近居という考え方があります。コロナ対策はじめ、非常事態時に助け合えるのが大きなメリット。長い目で見た時、一棟を貸したり、売ったりできるような将来計画も立てられます。土地を共同購入すると、その価格は抑えられます。そういった合理性も多々あるのですが、何より、集まって住むことは”小さな集落をつくる”ような感覚で楽しい。

一つの土地を分筆し、親世帯と子世帯が分棟で建てた事例『木骨の白い家』は、コチラ≫

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