白水阿弥陀堂@歴史から考える その1 | 築紡|根來宏典

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2019年12月4日(水)

白水阿弥陀堂@歴史から考える その1

11月24日(日)家づくり学校1年生「歴史から考える」授業で、福島&茨城の浜通りを北上してきました。引率講師は、家づくりの会の山本成一郎先生と石黒隆康先生。

 

初めに訪れたのは、福島県いわき市にある『白水阿弥陀堂』。平安後-永暦元年(1160)建立、方三間単層宝形造り杮葺き、国宝建造物、内部は撮影禁止。四天柱によって内陣と外陣とが区分され、ともに折り上げ小組格天井で美しい。外陣の小組格天井は、文明18年(1486)の改修時に付け加えられたもの。当初は、垂木の並びが見える化粧屋根裏だったそうです。大きな屋根を支える斗きょうは出組で、他の仏堂などと比べて肘木は左右に大きく延びています。平安時代に完成した寝殿造りでは、床組みを構造に寄与していません。平安末から鎌倉にかけてのこと、重源による大仏様、栄西による禅宗様の導入によって貫を用いる工法となり、床組みを構造に利用するようになったと山本先生が教えてくれました。

 

構造材であった貫が、化粧材になったのが長押。頭の高さにあるものを「内法長押」、縁の上にあるものを「縁長押」と呼びます。

ちなみに、こちらのお堂ではありませんが、腰のあたりにあるものは「腰長押」と呼ぶそうです。

 

当日はあいにくの雨模様。軒先の水の切れや、足元の雨水処理の設えなどを見れたのは良かったです。

しっとりと湿った苔の上に落ちるモミジの葉が映えます。

周囲は山に囲われ、南大門の先には反橋、中島、直橋、そして阿弥陀堂が軸線上に並ぶ伽藍。美しい浄土庭園でした。