根來宏典建築研究所

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2019年7月26日(金)

落柿舎

京都嵯峨野の田園風景の中、ひっそりと佇む草庵『落柿舎(らくししゃ)』。芭門十哲のひとりとして名高い俳人・向井去来(1651-1704)の別荘遺跡であり、明和7年(1770)に再建されたもの。門をくぐると、江戸時代にタイムスリップ。茅葺の民家。縁側、四畳半、三畳、裏庭へと視線が抜ける構成。三畳の間には去来が使っていたといわれる文机。居心地が良さそうで、筆も進んだことでしょう。土間には竈があり、玄関とを仕切る壁の瓢箪型下地窓がユニーク。天井の一部は切り抜かれており、茅葺の天井裏を覗き見ることができます。

特筆したいのは「ホタル壁」の美しさ。聚楽土に鉄粉を混ぜた左官。「錆壁」や「錆聚楽」とも呼ぶのですが、時間とともに錆が浮き出て、その周りはホタル火のような斑点に。鉄粉の周りには、土のアクが出ない性質を利用したもの。珍しい技法ではありませんが、これほど美しいものは、そうそう見れるものではないかと思います。