京都最古の神社『松尾大社』に行ってい参りました。太古より松尾山の磐座を神として崇め祀られ、大宝元年(701)に創建、現在の本殿は応永4年(1397)建築、天文11年(1542)に大修理されたもの。本殿に続く釣殿、中門、回廊、神庫、拝殿、楼門は、江戸初期の建築で、中世の趣を感じることができます。
松尾大社には、作庭家・重森三玲(1896-1975)が晩年に手掛けた庭が4つあります。磐座と神々を表現した「上古の庭」、即興的に作り上げられた「即興の庭」、曲水庭園の現代的解釈「曲水の庭」、蓬莱神仙の世界「蓬莱の庭」が四部構成として繋がり、一連の流れに沿って配置されています。配石された徳島県吉野川の青石(緑泥片石)は200個余り。三玲が目指した「永遠のモダン」の最終表現。壮大なプロジェクトだったことと思います。
磐座登拝道の奥に歩みを進めると、四時涸れることのない「霊亀の滝」。苔生した岩肌を流れ落ちる様相に、神秘さと清々しさを感じます。渓谷の先にある巨大な岩石が古代の磐座だそうです。滝の水は「曲水の庭」へと注ぎ込まれ、さらにその下にある「蓬莱の庭」へと繋がっています。
こちらは「曲水の庭」。緑泥片石の小石で州浜を表現し、サツキの刈込で表現された山や野を背景とし、七曲りしながら蛇行する遣水の流れが、優雅な世界を作り上げています。流れの中にも岩組を配置し、景色に変化を付けるとともに、その周囲の水面に生じる小波の音に心癒されます。

三玲の庭は、東福寺(1939年)に始まり、松尾大社(1974年)を遺作としたわけですが、高野山に1951年~晩年1975年に三玲が手が手掛けた庭が7寺院・12庭も残っていることを知らない人は多い。そこでは三玲の若かりし頃から成熟へと至る変化の様相を垣間見ることができます。松尾大社の「曲水の庭」の原型とも言われる庭もあるんですよ。重森三玲のお話は、コチラ≫




