調度♥ハッピーのかたち | 築紡|根來宏典

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2017年9月1日(金)

調度♥ハッピーのかたち


東京国立近代美術館から400mほど離れたろことに建つ『旧近衛師団司令部庁舎』。

明治43年(1910)竣工、設計は陸軍技師の田村鎮氏によるもの。
2階建ての煉瓦造り、ゴシック様式の建築で、重要文化財にも指定されています。
それを保存し、現在は『東京国立近代美術館工芸館』として活用。

昭和47年(1972)に保存活用工事が行われ、
その展示室(和室含め)の設計者は、本館と同じく谷口吉郎氏。

中央の階段回りとホール部分は、当時の姿を残しているそうです。
何気なく置かれている長椅子は、人間国宝・黒田辰秋による「欅拭漆彫花文長椅子」。
そこに座って、寛ぐことが出来るという贅沢さ。

その工芸館で開かれているのが『調度♥ハッピーのかたち』展。
『日本の家 1945年以降の建築と暮らし』同様、否それ以上に期待して行ってきました。
開催期間は、9月3日(日)まで。詳しくは、コチラ≫

その展示構成に沿って、一品チョイスとメモ。

<第1室>わたしのハッピー
ピエール・シャロー(1883-1950)の≪書斎机、椅子≫。
作業スペースが拡張できる。下に敷かれた大谷石との相性も良い。

<第2室>だれかとパッピー
アルヴァ・アアルト(1898-1976)の≪トロリー≫。
持ち手と車付きのティーワゴン、その貴重な初期モデルを見れたことに感動。

<第3室>LIFE①うつわ
藤田喬平(1921-2004)の≪蓋物向付≫。
硝子工芸家で初めて文化勲章を受賞。美しすぎる。この器で懐石料理を食べてみたい、、、

<第4室>LIFE②人形
川崎プッペ(1905-1978)の≪千手観音≫。
花、本、パレットを持った紫色の観音様、表情が優しい。

<第5室>特別展示
造形作家・川崎広平(1972-)の作品≪無題≫。
アクリル、オイル、LED、ELファイバー、ビスを使って内部構造を視覚化するオブジェ。

<第6室>ゆるやかな境界
北村武資(1935-)の≪藍地透文羅裂地≫。
羅とは薄物の別称で、これほど透明感に満ちた裂は稀。

他にも、イサム・ノグチ、北大路魯山人、浜田庄司、竹久夢二、、、らが手掛けた調度品。
見ているだけで幸せになる逸品たち。
『日本の家 1945年以降の建築と暮らし』と同じくらいの拝観時間を要しました。

調度は中国から伝わった言葉で、元々は「物を調達してほどよく置くこと」という意味。
平安期にこれを「室礼(しつらい)」と意識するにあたり、
調度はしつらえる物自体を指すようになったのだそうです。

根來宏典建築研究所