日本の家 1945年以降の建築と暮らし | 築紡|根來宏典

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2017年8月31日(木)

日本の家 1945年以降の建築と暮らし


『日本の家 1945年以降の建築と暮らし』展に行ってきました。

日本の建築家56組による75件の住宅建築を、
400点を超える模型、図面、写真、映像などを通して紹介する壮大な試みとのこと。
詳しくは、コチラ≫

上の写真は、目玉である清家清設計≪斎藤助教授の家≫原寸大模型の室内からの様子。
1952年に作られた平屋の住宅で、私も好きな建築です。
ヒモ椅子に腰かけ、この住宅の特徴でもある移動畳やキャビネットを横目に、
ワイド9mの大開口と、天井・鴨居・軒裏がフラットに繋がる内部と外部の抜け感、
その向こうに広がる景色(ここでは展示作品)を堪能してきました。

この「系譜のチャート」が、この展示会を有意義なものにしていると思いました。
単に年代や師弟関係の系譜ではなく、横軸を年代、縦軸を様式、都市/家族、産業とし、
その中を13のテーマ(系譜)に分類しています。

1.日本的なるもの
2.プロトタイプと大量生産
3.土のようなコンクリート
4.住宅は芸術である
5.閉鎖から解放へ
6.遊戯性
7.新しい土着:暮らしのエコロジー
8.家族を批評する
9.脱市場経済
10.さまざまな軽さ
11.感覚的な空間
12.町屋:まちをつくる家
13.すきまの再構築

この分け方、その視点に「なるほど!」です。
東工大色が強いとの意見もありますが、それはそれで、そういう視点で見てみると、
別に見えてくる系譜もあり、それが個人的な楽しみ方でありますし、
他者との議論が弾むという面白さもあります。

展示会場となっているのは、皇居に面して建つ『東京国立近代美術館』。
1969年竣工、設計は谷口吉郎氏(1904-1979)によるもの。
連続するアーチ状の梁が、内部と外部とを優しく繋いでおり、居心地よい空間でした。

根來宏典建築研究所