同じく海南市下津町にある『長保寺』にも行ってきました。
ここには「大門」「大塔」「本堂」の3つの国宝があります。
これってどれだけ凄いことか分かりますか?
伽藍とは寺院における諸堂の配置のことですが、その要はこの3つ。
この3つがそろって国宝になっているお寺は『法隆寺』と、こちらだけなのです。
国宝に指定されている建造物は、日本全国に221あります。
その内、奈良64、京都50といった感じで、半数を占めています。
その他関西地方ですと、滋賀22、兵庫11、和歌山7、大阪5といった感じで、
その数は合わせて159か所にも登ります。
ちなみに関東ですと、
栃木7、群馬1、埼玉1、茨城0、千葉0、東京2、神奈川1といった感じ。
今回は『善福院釈迦堂』と合わせて4つの国宝を見てきました。
和歌山県には、あと3つの国宝があります。
残りは『高野山多宝塔』『高野山不動堂』『根來寺多宝塔』となっています。
さて長保寺の話をしますと、長保2年(1000)創建のお寺。
上の写真は、その「大門」。様式は和様。
屋根は、入母屋造りに本瓦葺き。三手先の組物で軒が深く、雄大です。
こちらは「多宝塔」。1357年建立、様式は和様。
大きく跳ね出された屋根、一重と二重の間の腰のクビレ、
抜群のプロポーションで優美です。
こちらは「本堂」、1311年建立。屋根は、入母屋造りに本瓦葺き。
二軒(垂木が2重)、飛燕(燕が飛ぶラインのように反り返った垂木)、
繁(垂木のピッチが細かい)が美しい建物です。
本堂で興味深かったのは、外陣は和様、内陣は唐様といった折衷様式であること。
こちらは外陣の柱頭。頭を真っ直ぐに切った柱、長押、間斗束は、和様の特徴。
こちらは内陣の柱頭。頭を丸めた粽柱、頭貫、詰組は、唐様の特徴。
貫は、長押よりも構造的に強い。
唐様の建物が多く残っているのは、この貫の工法を取り入れたことによるもの。
長保寺には紀州徳川家歴代の廟所があり、大名墓所として全国一の規模だそうです。
初代藩主・頼宜卿~十五代・頼倫卿(五代と十三代は将軍になったので廟所は江戸に)、
さらには七代夫人、十代夫人、十一代夫人、十二代夫人も眠っています。