3つの国宝@長保寺 | 築紡|根來宏典

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2017年8月21日(月)

3つの国宝@長保寺


同じく海南市下津町にある『長保寺』にも行ってきました。

ここには「大門」「大塔」「本堂」の3つの国宝があります。
これってどれだけ凄いことか分かりますか?
伽藍とは寺院における諸堂の配置のことですが、その要はこの3つ。
この3つがそろって国宝になっているお寺は『法隆寺』と、こちらだけなのです。

国宝に指定されている建造物は、日本全国に221あります。
その内、奈良64、京都50といった感じで、半数を占めています。
その他関西地方ですと、滋賀22、兵庫11、和歌山7、大阪5といった感じで、
その数は合わせて159か所にも登ります。

ちなみに関東ですと、
栃木7、群馬1、埼玉1、茨城0、千葉0、東京2、神奈川1といった感じ。

今回は『善福院釈迦堂』と合わせて4つの国宝を見てきました。
和歌山県には、あと3つの国宝があります。
残りは『高野山多宝塔』『高野山不動堂』『根來寺多宝塔』となっています。

さて長保寺の話をしますと、長保2年(1000)創建のお寺。
上の写真は、その「大門」。様式は和様。
屋根は、入母屋造りに本瓦葺き。三手先の組物で軒が深く、雄大です。

こちらは「多宝塔」。1357年建立、様式は和様。
大きく跳ね出された屋根、一重と二重の間の腰のクビレ、
抜群のプロポーションで優美です。

こちらは「本堂」、1311年建立。屋根は、入母屋造りに本瓦葺き。
二軒(垂木が2重)、飛燕(燕が飛ぶラインのように反り返った垂木)、
繁(垂木のピッチが細かい)が美しい建物です。

本堂で興味深かったのは、外陣は和様、内陣は唐様といった折衷様式であること。
こちらは外陣の柱頭。頭を真っ直ぐに切った柱、長押、間斗束は、和様の特徴。

こちらは内陣の柱頭。頭を丸めた粽柱、頭貫、詰組は、唐様の特徴。
貫は、長押よりも構造的に強い。
唐様の建物が多く残っているのは、この貫の工法を取り入れたことによるもの。

長保寺には紀州徳川家歴代の廟所があり、大名墓所として全国一の規模だそうです。
初代藩主・頼宜卿~十五代・頼倫卿(五代と十三代は将軍になったので廟所は江戸に)、
さらには七代夫人、十代夫人、十一代夫人、十二代夫人も眠っています。

根來宏典建築研究所