敷居にも、こだわり | 築紡|根來宏典

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2015年5月28日(木)

敷居にも、こだわり


昨日、こだわり建具のお話をしましたが、今日は敷居のお話。

既製品建具の場合、建具と枠とがメーカーのセット商品になっておりますが、
私どもが設計する住宅では、建具は建具屋さんがつくり、
枠は大工さんが現場で材料を加工して作ります。

私どもの事務所では、建具は基本的に引戸で設計しています。
その方が、扉を開けっ放しにしても邪魔にならず、良いですよね。
そして、ソフトクローザー付きの上吊りレールも基本です。
その方が、床がフラットで繋がり、良いですよね。

ですので、床にはレールなどがなく、すっきりとした納まりになります。
ですが、敷居を設けることもあります。

例えば、和室の障子の敷居(上の写真)。
ここが上吊りレールだと、障子の動作が軽すぎて気持ち悪い、、、
敷居には、通常、障子が滑りやすいように「敷居すべり」が嵌め込まれます。
ここで使っているのは、厚さ3mmもある「さくら」です。
樹脂製のものや、テープ状のものと違って、格段と品が良くなります。

こちらは、敷居に木製のVレール。
ワイド2メートルもある障子であること、開閉頻度が多いこと、上がり框にもなっていることから、
可動性が良くて、細いVレールを選んでいます。

こちらは、ウォールナットのフローリングに木製のVレール。
納まりの関係上、上吊りレールが採用できなかったところ。
敷居は設けず、フローリングに溝を掘って、Vレールを埋め込み、すっきりと納めています。

土間に障子を設けている場合は、真鍮製の甲丸レール。
石は風情のあるデコボコとした仕上げなのですが、凹凸があるとレールが取り付きません。
建具の下だけは、同じ石でも、凹凸のない水磨き仕上げとしています。

ここで紹介した敷居の話は、全て先日お引き渡しした「土間の家」の事例です。
一つの住宅の中でも、適材適所に使い分けています。

根來宏典