講師は、川崎君子先生。講義のサブテーマは「茶室設計に依頼を受けたとき」。
多くの設計者は、茶室設計の依頼を受けた時、困るはずです。教わる所がないからです。
お茶を習っても、茶室は設計できません。
お茶の先生に言われたように作ればよいと考えている設計者も多い。
ただ、お茶の先生は、茶室設計の先生ではありません。
本物の茶室を設計依頼を受けた時、そんな気楽に考えていたら、大問題になりかねません。
2回1組の授業プログラムで、茶室の授業は今回2回目。
1回目の授業では、広間と小間を実際に体験し、茶事の作法を学ながら、
茶室の用と美について、川崎先生の豊富な知識と経験を教えていただいております。
そこで課題が出され、実際に茶室を設計し、その発表が今回2回目の授業です。
各自が仕上げた課題を、川崎先生が一つ一つ丁寧に解説、補足、手直ししてくれます。
皆よく勉強していて、なるほどって思う解答ばかりでした。
プランニングは、みんな良く出来ている。問題は、断面。
炉、床の間、躙り口、茶道口、給仕口、、、といった配置は解説本など見つかるのですが、
天井、落とし掛け、床板、腰張、といった高さについては、見つからないのです。
これらは相互に関連しあって決まるものなので、本当に奥が深い。
ただ川崎先生のお話は、知識と経験に裏付けられており、応用力があって、分かり易い。
課題講評の後は、茶室の美やディテールについて、事例紹介をもとに、さらに深いお話が。
川崎先生には、去年と今年の2年、この授業の担当をお願いしております。
「来年は勘弁して」と言われているのですが、こんな授業が出来るのは川崎さんだけなのです。
こんな授業が受けられる我々は幸せなのです。
来年も引き受けてくれることを願います。
MEMO
水屋⇔水谷、腰張⇔時計回り⇔内装屋さんではなく経師屋さんに、たたみ廊下⇔さやの間、
床框材の末元⇔床柱側が元、さび丸太⇔ヒノキ⇔かび⇔ワビ、サビ、カビ、ヒビ
数寄・透き・好き
それにしても、みんな茶室をよく勉強している。
そして自ら茶室を見にいく機会を作っている。
学生同士で、どこどこの茶室が、いついつ見れるとかの情報交換も活発です。
単に見に行くのではなく、川崎先生の授業を受けた後なので、見方も分かったようです。
これが最大の成果ですね。