栃木の石 その4 大谷石採掘場、大谷石の建築群 | 築紡|根來宏典

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2011年5月20日(金)

栃木の石 その4 大谷石採掘場、大谷石の建築群


次に向かったのは、宇都宮にある『大谷石採掘場』。
『大谷石』の採掘場は、『芦野石』『深岩石』の採掘場に比べ、地下掘です。

去年の見学先は、大谷資料館(採掘跡地)だったのですが、震災の影響で閉鎖中だそうです。
大谷資料館のお話は、コチラ≫
代わりと言っては何ですが、今年は去年掘り起しが始まったばかりの採掘場を見学。
これは、かなりラッキーなことです。
実際採掘している地下掘りの現場を見る機会なんて、そうそう体験できることではありません。

まずは入口。作業者用の足場を、ドンドン下りていきます。
宇都宮の地面を掘れば、直ぐ『大谷石』が出てくる訳ではありません。
表層度を深く掘り進め、7×7mのコンクリート擁壁を作りながら掘っていきます。

こちらがコンクリート擁壁と大谷石岩盤との結界ライン。
さらにドンドン下りていきます。かなり怖い・・・。
下から泉校長が「おーい」を叫んでおりますが、下が見えません。
石に響いて、とても綺麗な声です。

暗い足場。ジメジメした地下空間。
壁面には大谷石から湧き出た水が、滴っております。
上からは水がポタリ、ポタリと頭や洋服に落ちてきます・・・。

こちらは坑内平面図と断面図。
現在の採掘深さは断面図の水色部分から下1.5m。地上から50mの深さに平場があります。
これから横に平場空間を広げ、さらに深さ30m採掘していくそうです。
このように採掘を続けていくと、大谷石資料館のように大規模な地下空間になるのですね。

地下50mの平場に到着。こちらの横穴は、記念すべき横方向への第一号採掘です。

地下空間での作業のお話を聞く。皆、見聞逃すまいと必死です。

切り出される原石のサイズは、300×300×900mm。
一本一本チェーンブロックで引き上げられます。
昔はこれを人の手で荷揚げしたそうです。大変・・・。

今回の地下採掘場見学は、私にとっての人生観、
そして建築に対する設計観を大きく変える刺激的な経験でした。
地下にいる間、ずっと足は震えっぱなし・・・。
恐怖でしょうか、寒さでしょうか、足場を下ってきた肉体的なものでしょうか、・・・。
いや初めて経験する非現実的な感動に違いありません。

最後は、昨年も行った『大谷石の建築群』です。詳しくは、コチラ≫
どれ一つとして同じ建築や倉は無い。どれも個性的です。
昔、職人さん達が、その意匠を競い合ったのでしょうか。
その全体性としての建築群は、なお一層個性的で、素晴らしい魅力が残っている集落です。
夕方に訪れたのですが、時間が止まったようで、私はこの空気感が大好きです。

これにて『栃木の石』の紹介はお終いです。
次回2回目は、私が講師を務める『植木のまち』安行を巡る回です。

根來宏典