朝廷にとっての重要な建築『宗廟(チョンミョ)』。ユネスコ世界文化遺産。
儒学を統治基盤とした李朝王朝、その歴代の王と王妃を祀る建物。太祖(王朝の始祖)は漢城(ソウル)への遷都に当たり、宮殿、朝市、道路と共に、先祖を祀る宗廟と、土地と穀物を祀る社稷壇(しゃしょくだん)の場所を真っ先に選んだそうです。
太祖3年(1394)に建設が始められ、その翌年に完成。創建当時は正殿が7間、翼室が各2間の建物。その後に正殿が10間に広がり、壬生乱(豊臣秀吉の侵略)の焼失後の再建(1608)では11間となり、その後も増設が重ねられ、李朝末期には19間(左右には各3間の翼室)となり、現在に至るそうです。それぞれの柱間が祭室となっており、王の祖霊が祀られています。
木造建造物としては、世界でも最大の規模と推定されるそうです。
建築的には柱間の繰り返しで単純な構造。
装飾はなく簡素な作りに見えますが、部材は大きく、精巧なつくり。
それらがかえって気品を漂わせ、荘厳な景観を作り出しています。
樹木や土壁に囲われ、外界と隔絶された異質な空気感。
前庭には広大な範囲で石が敷き詰められ、
三方に向かって緩やかな勾配を付けているため、実際の広さよりも大きく感じます。
建物の水平な伸びやかさ、前庭の広がりは、
神秘性と王朝の永続性を現しているようでもあります。
これだけ石畳の雨水をどうやって排水するか、、、
相当な技術が発揮されているものと思われます。
4ヵ所に設けられたガーゴイル。その意匠がまた美しい。
雨の時に再来したいと思うほど、丹念に作られています。
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宗廟の敷地内に巡っている美しい塀を2枚ほど。