建築家と建築士 | 築紡|根來宏典

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2015年8月11日(火)

建築家と建築士

速水清孝著「建築家と建築士―法と住宅をめぐる百年」東京大学出版会、2011年。
詳しくは、コチラ≫

 

8月22日(土)に「建築設計者のアイデンティティとは何か」と題した公開講座があります。速水先生と語らう場を前に、予習しておかねばモッタイナイ。夏休みの読書です。6章あるうち、2章を読み終えたところです。小さな文字ばかりの本ゆえ、気合を入れて読み始めたのですが、すらすら読める内容。査読付き学術論文誌に何篇も掲載された論文を書籍として纏めただけあって、論述が美しい。そして歴史の羅列ではなく、人物列伝的なところが、当時の迫真を伝えます。

 

建築士でありながら、建築士法の成立の背景を知っている人はどれだけいるでしょうか、、、建築家法案の敗北、称号か業務か、設計と請負工事の専兼問題、関係団体の変容、戦前と戦後、医師法・弁護士法・計理士法との関係、、、そして住宅設計者は、建築家ではないという風潮は今も残っていますね。建築士法は、建築家のための法律ではないことは、誰もが承知していますが、建築士法の設立の背景に「日本の住宅問題の解決」があったことを、どれだけの人が知っているでしょうか、、、庶民住宅と建築士法との関係を。

 

私自身も建築士でありながら、知らないことばかり。今までモヤモヤしていたものが、一気に晴れる内容。続きを読むのがワクワクする書籍。我々設計者は、建築士法に込められた理念を知らずして良いのか、、、多くの建築家、建築士に読んでほしい一冊です。