『ディテールから考える最高に美しい住宅デザインの方法』が出版されました。
石井秀樹さん、村田淳さん、根來の3人の共著です。書籍というのは、結実としての一つの成果ではありますが、私にとっては、ここに至るまでのプロセスが有意義でした。特に編集会議の場。
我々3人と編集者が集まり、テーマを分けたり、、、テーマごとのディテールを出し合ったり、、、そこには三者三様の考えがあり、それぞれの意見をぶつけ合う刺激的な空間がありました。
建築知識の連載から始まった企画で、執筆を引き受ける自信のないままスタートした私でしたが、回を重ねる度に、私自身が成長している実感を持ちました。
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「ディテール」というと、一見、細かな図面と思われがちですが、そこにはそれが生まれるプロセスがあります。素材と素材が取り合う物理的側面、行為や動きを伴う機能的側面はもちろんのこと、美しさや快適さといった心理的側面、さらには経年変化や可変性といった時間的側面に配慮し、設計者としてのこだわりだけでなく、建主さんや作り手さんの意見も取り込み、、、
ゆえに家一軒一軒にオリジナルのディテールが生まれるのです。「神は細部に宿る」とういミース・ファン・デル・ローエの名言がありますが、そんな一言のキャッチコピーでは語れない奥深さ(プロセス)によって生まれるのが、私にとってのディテールであり、住宅設計の神髄なのです。
本書に掲載されているディテールをそのまま使っても、良質な家はつくれません。理由は、もうお分かりですよね。ディテールを生み出しているプロセスの形態化を読み取って頂ければ幸いです。
そのプロセスには多様な価値観があり、多様なプロセスを導き出す観察力、洞察力、察知力が必要です。そこに設計者が存在する意味があると思います。この気づきこそが、本書の出版にあたって得た私の最大の成果です。まだまだ未熟と痛感しました。ますます、その奥深さを追求したいと思います。
本書は、専門家の方々だけなく、一般の方々をも対象としています。単なるディテール集ではなく、そのプロセスの意味、大切さをお伝えすることを目的にしているからです。ぜひ書店にて、手に取って、ご高覧下さい。詳しくは、コチラ≫