木造住宅用構造金物の可能性 その3 | 築紡|根來宏典

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2013年6月24日(月)

木造住宅用構造金物の可能性 その3


木造住宅用構造金物のお話を、もう一つ。

その1でお話しした中田先生が言うように、既製品では設計の自由度が上がらない場合、
その物件ごとに各設計事務所が金物を設計しないといけません。
もちろん既製品で対応できる空間設計とすれば良いのですが、
やはり暮らし良い空間を求めると、既製品では限界もあります。

上の写真は、只今、大井町で工事中の住宅の折れ柱の継手金物。
斜線制限一杯で空間を確保するために、壁の途中から柱が折れ曲がっております。
床の梁が取り合うところで、折れ曲がっていれば、設計はラクなのですが、そうもいきません。
こういった金物は、既製品では見当たりません。

現場に搬入された沢山の金物の様子。こちらは、鉄筋ブレースの金物です。
沢山に見えますが、コーナー金物4つでワンセット。全部で10セットあります。
ブレースを活用することによって、内部空間をあまり仕切ることなく、耐力壁を確保しています。

ブレースの既製品は多々あるのですが、なぜ既製品を使っていないかと言うと、
金物が取り合う柱や梁が垂直・水平でなかったり、
シングル・クロスではなく、ダブル・クロスにして耐力を高めているから。

私どもの実作を見られて、よく「これは木造ですか?」と聞かれます。えぇ木造ですよ。
大きな空間、大きな窓が多いので、木造では出来ないと思っていたのだとか・・・。
木造でも、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に劣らぬ魅力ある空間づくりは可能と思います。
さてさて、これらの金物によって、どのような空間が形成されるのか楽しみです。

根來宏典