農村計画学会シンポジウム | 築紡|根來宏典

築紡

築紡

loader
ブログ
ブログ

2011年4月11日(月)

農村計画学会シンポジウム


大震災から一ヶ月が過ぎました。

9日(土)東京大学弥生講堂で開かれた農村計画学会のシンポジウムに参加してきました。
『農村の持続的環境ガバナンスから国土の災害復興ガバナンスへ』というタイトルだったのですが、
パネリスト、話題提供者の発表を聞いていると、
『復興』というよりも現状把握・収集で精一杯という感じでした。
『復興』よりも、まずは『復旧』でしょうか。

壇上に上がった仲間の浦上さんは、
原発事故の影響で報道されている『飯館村』の地域づくりに長く携わってきた人物です。
国よりも早く、原発事故と飯館村との関係に向き合い、村中の放射線量データを採取し、
京都大学原子炉研にて解析の協力を得て、『放射線量の等高線』を発表しています。
詳しくは、コチラ≫

放射線量は、同心円上に広がっているのではなく、
飯館村一括りではなく、もちろん福島県一括り、日本一括りではなく、
風向きや地形などによって、状況は異なります。

今も浦上さんは、自身の健康を顧みず、現地で復興活動に飛び込んでます。
飯館村には、放射線量の問題があっても住み続ける方々も多いようです。
村は、今後も生き続けます。

地震の影響を受けた、津波の影響を受けた、原発の影響を受けた、
風評の影響を受けた、などなどの街や村が沢山あります。

私個人一人で出来ることは限られておりますが、何らかの関係で
中・長期ビジョンを持った復興活動に係って行きたい。
建築家の職能としては、建築の設計と、その集合体としての地域づくりでしょうか。

まずは仮設住宅やマンションを中心とする復興住宅。
即効性や数が必要と言う意味では、大手やプレハブメーカーが活躍することでしょう。
まずは被災者の精神的な安心とゆとりを頼みます。

阪神・淡路大震災では都市型の復興、中越地震では山村集落型の復興、
そして今回は漁村集落型の復興です。
美しい、魅力ある漁村集落を蘇らせるためには、一律的な復興計画ではなく、
個性ある地域単位のビジョンが必要です。

そのためには、ますますその場で生き続ける住民の力が必要です。
そこに人がいる限り、街や村は生き返り、必ず復興します。
災害に強い街、村として新生することを願って。

根來宏典