明治になる前、御所を囲むように形成された公家屋敷街。現在は開かれた公園となっています。苑内に香山壽夫さんが三つの休憩施設を設計されているのですが、そのうちの二つを見学。近衛邸跡休憩所と京都御苑情報館。前者はカフェを併設した無料休憩所、後者は御苑の総合案内拠点。ともに身舎と廂からなる空間構成で、木造の在来軸組工法の基本が遵守された美しい建築です。情報館に近接しては柳澤孝彦設計の中立売休憩所があります。こちらは大断面集成材が使われたダイナミックな空間構成で、張り出した庇下の空間が気持ち良い。中立売御門を出ると内藤廣さん設計の虎屋茶寮があります。敷地外周に路地が巡り、既存樹木を生かした庭と建築との調和が美しい。里桜が見頃でした。御苑はとても広く、自転車も通り抜けていけます。轍の延びる様が礼儀正しい。

