琵琶湖のほとり | 築紡|根來宏典

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2025年3月24日(月)

琵琶湖のほとり

琵琶湖の畔に建つ画伯・山元春挙(1872-1933)の別邸を訪問。当時の最高の材と技術で作られた数寄屋。12畳の書院「撥雲亭」から臨むパノラマ風景は屏風絵のよう。現在は琵琶湖と敷地との間に道路が走っていますが、元々は接していたそうで、庭には当時の船着き場が残っています。上段床、付書院、舟底天井なども見どころ。水辺に張り出した六畳の間「莎香亭」は、水盤に浮いているよう。外部に据えられた手水鉢は月を映すためのもの。画想を練った一畳半ほどの小室「無尽蔵」は、時間を忘れてしまいそうな居心地のよさ。花頭窓の前に座ると、肌をなでるような風を感じます。竹の趣向が凝らされた「竹の間」は、床柱、落掛、蹴込などに珍奇な竹が巧みに使いこなされています。特に満月に浮かぶススキのような趣の円窓が独創的で美しい。主屋2階に設けられた創作活動の場「画室」は、大作を手掛けるための大きな間取り。春挙が使っていた筆や絵具といった道具類が今もそのまま残っています。一つ一つに趣向が凝らされ、春挙ならではの美意識に包まれてまいりました。