紀淡海峡に面し、水陸交通の要所として栄えた歴史ある港町・加太。古事記や日本書紀で神話の舞台として登場し、万葉集でも詠われる景勝地。温泉あり、グルメあり、関西屈指の魚釣りや海水浴のメッカでもあります。
私自身は集落の空間構成に興味があります。漁村集落をフィールドとした研究をしていたほど。漁村集落は複雑な地形ゆえ独自の文化を育み(いい意味で交通網に恵まれず)、一定の自律システム(生活と生産とが一体)を内包した空間となっています。民家は密集し、路地には多様な行為が溢れ、現在においても美しい共同体としての組織が成り立っています。そんなところに、魅力を感じるのです。路地の奥へ奥へと惹き込まれてしまいました。