茶室が好きで、機会を見つけて行くようにしています。名席を紹介する本は沢山ありますが、水屋との関係を解説しているものは少ない。茶の湯の空間において、露地とともに欠かせない存在。露地についての解説本は沢山あります。露地は客を招く表舞台ですが、水屋は裏方のなのが要因かもしれません。お勝手とも呼ぶその空間は、茶道口や給仕口と繋がるものであり、その動線計画は巧妙に練られています。現代でいうところのキッチンやパントリー。茶室と水屋との関係を読み解くことは、現代的な住まいに通じるものを感じます。使う人の気持ちになって設計すること。作法とはそういうことだと思うのです。
私の好きな茶室に無鄰菴の離れの茶室があります。三畳台目の主座は織部好みの代表的茶室・薮内家燕庵を模したもの。他に二畳中板敷と三畳の2つの間、さらには広縁「月見台」があり、これら4つの間は水屋を介して有機的に繋っております。茶室の平面計画においては床の間や躙口・貴賓口を考え、立体的には駆け込み天井などの軸組も考えねばなりません。これらを機能的かつ美しく成立させるためには、相当のプランニング力と造形力が必要だと思います。