スイスの建築家、ヘルツォーク&ド・ムーロンが手掛けた『UNIQLO TOKYO』。今年6月、銀座にオープン。百貨店のリノベーションなのですが、1階~4階が繋がる吹抜空間が特徴的。元々あった床を切り抜いています。つまり減築。これまでの売り場面積重視の拡大志向的な商法に終焉を感じます。床の切断面、垣間見える鉄筋に手仕事の痕跡を感じます。柱と梁が露わになったコンクリートの構造体。天井や梁下の一部には鏡が貼られ、下から見上げると、その構造体、商品、人が映り込み、それらが錯綜する様相は、迷宮に入ったような感覚になります。
1990年代のこと。アイゼンマン、クールハース、ザハらのデコンストラクション、フォスター、ピアノ、ロジャースらのハイテクスタイルが脚光を浴びました。そしてH&deM、ズントーらによるミニマリズムの台頭。建築が元気な時代、ワクワクしたものです。ミニマリズムは、余計なものを削ぎ落すことゆえに得られる構成美。素材を分節するプロポーションやディティールに心を打たれたものです。
こちらは、ELcroquisというスペインの建築誌。1983-1993年の間にH&deMが手掛けた設計活動の特集。1994年出版、スペイン語と英語の併記。素材の活かし方、卓越したディテールを食い入るように魅入った修行時代。薄給の中、よくこんな高価な本を買っていたな、、、と我ながら感心。今となっては、その時間がプライスレス。