根來宏典建築研究所

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2019年10月15日(火)

無鄰菴

京都東山の麓に建つ『無鄰菴』。明治29年(1896)に造営された政治家・山縣有朋の別荘。南禅寺界隈には、政界・財界の近代数寄者たちの別邸や邸宅が営まれた別荘郡があるのですが、この地で最初に築かれた別荘であり、唯一公開されています。数寄屋造りの母屋、煉瓦造り2階建ての洋館、茶室の3つの建物が配され、庭園は庭師・植治こと7代目・小川治兵衛による作庭。母屋には次の間付10畳の客座敷と、次の間付8畳の座敷があり、10畳の方はカフェにもなっています。東山を借景とした座敷から見る景色、植治の庭が素晴らしい。お庭は池泉回遊式庭園。変化に富んだ景色の中を散策することができ、琵琶湖疎水から引かれた水のせせらぎが心を潤します。近代以前の京都における庭園は箱庭的になりがちでしたが、野趣に富んだ庭園が出現したのがこの時期。別荘郡、琵琶湖疎水の開通、東山の借景、植治の存在が相まって、新たな庭園の様相が切り拓かれた時代の傑作であります。