話は前後しますが、良洞村(ヤンドンマウル)のお話。
両班(ヤンバン)が代々住み着いた村。
両班とは、高麗、李朝時代の特権的な身分階級のこと。
宗家や瓦葺の屋敷は高台に、藁葺き屋は平地に位置していることからも、
当時のはっきりとした身分差が集落の構成からも読み取れます。
伝統家屋150戸軒ほどが保存され、
村全体がユネスコ世界文化遺産にも登録されています。
これらは個人の所有物であり、今も普通に人々が暮らしています。
600年前の李朝の生活風景が生きたまま残っていることに驚きです。
こちらは香檀同様、韓国の宝物に指定されている観稼亭(カンガジョン)。李朝中期の建物。残念ながら改修工事中。作業はされておりませんでした(土曜日もしくは夕方だったからか)が、囲いはなく、普通に入っていけることに驚き。これほどの歴史的建造物の改修工事を間近でみれるわけですから。
写真は舎廊棟(サランチェ)といい、主人の居室や接客の場の様子。
基壇に載った美しい構成なのですが、これは機能的なもの。基壇部分はオンドル。
それに対し、扁額が掛かった二間付き出したところは板敷きの風通し良い空間で、
大丁(テーチョン)と言います。夏の普段の居場所や寝床として使われるとともに、
マダン(庭)と一体となって各種儀式を行う場。
その浮遊感と開放性は楼閣のようでもあり、この村で最も美しい景色が臨めます。
ことちらは「心水亭(シムスジョン)」。
香檀の持ち物で、1560年頃に建てられたもの。
邸宅ではなく、習い事やイベントなど、集会所的な使われ方をする亭。
小川を挟んで香檀の反対岸にあり、逆側から村を一望できるロケーション。
その立地に沿うように建物の配置や間取りは計画されています。
藁ぶき家屋の食堂でお食事。暖冬の3月とはいえど、韓国は日本より寒く、もちろん朝晩は冷え込みます。藁ぶきの民家は小さな建物なのですが、それらが分棟型で建てられているのも建築的な特徴。居室のことを「房(バン)」というのですが、厳しい寒さゆえ室内空間を小さくし(開口部も最小限)、床下のオンドルで温めています。また同族や親族が集まって住むという家族形態も分棟型の要因ですね。
棟と棟の間や裏庭は生活空間として一体的に構成されているのが魅力で、一歩足を踏み入れると、その趣を感じます。30人もの大所帯でお邪魔したので、各棟に分散し、こじんまりと暖かく居心地の良い空間で、地元らしい食材を戴きました。
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以下、目に留まった建築ディテールを2点ほど。