『東京 アート アンティーク』粋な大工道具を置いてある骨董品屋さんでのこと。
熱心に見ていると、店主の方が「好きなの?」と、、、
ちょっとした会話の中「用の美」というフレーズのところで、
「そう、そうなのよ。こういった道具は、使うことに価値があるのよね」と。
夕暮れ時の閉店前「お酒飲んで行かない?」と、、、ご縁ですので一杯だけ。
「店に飾ってあるの、好きなの持ってきな」と。まさかと思いつつ『総織部(江戸初期)』の盃を選びました。そしたら、まさかのまさか、、、
「だから言ったじゃない。この価値は使って分かるものなのよ」と。
織部焼にも色々あり、総織部は銅緑の織部釉(酸化銅)をかけて焼いたもの。
乾杯の後「ところで、あなた名前なんて言うの?」と。
ネゴロとお応えしたところ「あなた根来と言うの!」と、目が真ん丸に、、、
「ちょっと待ってなさい」と出てきたのが『根来』の盃。
根来(ネゴロ)と読めない人も多いので、念のため申しますと、
根来とういうのは、漆塗りの技法名。
表面の朱塗りが摩耗し、下地の黒漆が表れ、使い古したよう見えるもの。
腰に帯が回っていますが「これは『胴紐』と呼ぶんだよ」と教えてくれました。
ちなみに枝豆が載っているお皿は『三島唐津』の陶片。
夢のような出来事に、まだ興奮冷めやりません、、、